RME TotalMix FXとARC USBをモニターコントローラーに

Posted on 21.05.01  /  in 機材

スピーカーにデジタルで繋ぐ

先だってご紹介しましたように、DSP内蔵スピーカーであるDutch & Dutch 8cを使うにあたって、デジタル(AES/EBU)で繋ぐのが合理的だろうと判断しました。

ところがデジタル入出力のついたモニターコントローラーというのが種類が限られる上に高価なモデルばかりです。

というわけで、オーディオインターフェイスの内部で完結させることにしました。

 

Total Mix FXについて

もう20年近く、オーディオインターフェイスはRME製しか使っていません。

(96/8PST(PCI) → HDSP MultiFace (PCI / PCカード) -> Fireface 800(IEEE1394b) -> HDSPe MADI FX(PCIe) という変遷だったように記憶しています)

安定性がすばらしく、全幅の信頼を置いております。

 

Total Mix FXというソフトが付属していて、インターフェイスに内蔵されたDSPを使ってレイテンシーを気にすることなくパッチやミキシングができ、エフェクト機能の付いた機種であればEQやコンプレッサー、リバーブなどを使ってモニターミックスを作ることが可能です。

質実剛健、多機能ながら無駄が無くしっかりしたデザインです。

 

余談ですがRMEユーザーであれば無償で入手できるDigiCheckというソフトウェアもあります。

こちらは様々なメータリングができる上に負荷の少ないマルチトラックレコーディングまででき(Windowsのみ)、ライブ収録の際のレコーダーとしても非常に有用です。

 

TotalMix FXの画面

 

さて、ARC USBはUSBで接続することでこのTotal Mix FXをコントロールすることができるアクセサリです。

中央のロータリーエンコーダーを挟んで上段に4つ×3段、下段に3つの自照式ボタンが付いていて、それぞれにTotal Mix FX上の機能を自由に割り当てることができます。

価格も2万円台前半と、リーズナブルです。

 

モニターコントローラーとして使えるか

入力の切り替え

ラフミックスやリファレンスを参照するのに複数の入力をさっと切り替えられると便利です。

この機能は8つまでプリセットできるSnapshotを切り替えることで簡単に実現できます。

 

とはいえ、トラッキング時など、プリセットから改変してモニターミックスを作っているときにうっかりプリセットを切り替えてしまうとミキサーの設定はプリセットに戻ってしまうので注意が必要です…。

 

モニターボリュームの調整

上記のプリセット呼び出しをしてもモニター出力(任意に指定できます)の音量は呼び出しから外すことができますので、急に音が大きくなってしまう、といったことはありません。

 

Recall機能は予め設定しておいたモニターボリュームに一発で戻せる機能です。

トラッキング時は少し大きくモニターしたいときもありますけど、ミックス/マスタリング時はそれぞれ決まった音量で作業しているので、とても便利。

 

ただ、現在のボリュームがTotal Mix FX上の(非常に)小さな文字でしかわからないのは不便なのでTouch OSCというスマホアプリと古いiPhoneを使ってモニターレベルを大きく表示させるようにしました。

適当に作ったTouchOSCのテンプレート

 

代理店であるSynthax Japan様のサイトでやり方とテンプレートへのリンクが紹介されています

上記テンプレートはそれを改変したものです。

 

出力の切り替え

例えばラジカセを繋いでいる出力をSpeaker Bに設定しておけばボタン1つでスピーカーを切り替えることができます。

 

基本的にはメインとラジカセの2系統なので問題なく使えています。

これ以上必要である場合はスナップショットを作ることで対応できなくはないかな?

 

トークバック

外部スイッチ用にフォーン端子が付いているので、トークバックのOn / Offに利用しています。

 

適当に空いたチャンネルにマイクを入力してトークバックチャンネルとして指定して、送りたい出力チャンネルのTalkbackボタンをオンにしておくだけです。

 

その他

Mono、Dim、Muteなどももちろんできます。

 

Crane Song Avocetを使っていたときは片チャンネルの位相を反転させる機能があって、それとMonoを組み合わせてSide成分だけ聞くのに重宝していたのですけど、それはBrainworxの無料プラグイン bx_solo で代用することにしました。

 

ちなみに各ボタンの下には予めデフォルトの機能名がプリントされていたのですが、すぐに削れて無くなってしまいました。

シールが付属しているので割り当てた機能に応じて貼ることができるものの、普通の紙シールであるため、これもすぐぼろぼろになってしまいそうです。

テプラ等でラベルを作ったりするしかないのかもしれません。

 

まとめ

以上、Total Mix FXとARC、Touch OSCを使うことでモニターコントローラーとしては十分な機能を持っていることがわかりました。

 

また、バークレー発のオープンな規格を無理なく取り入れる姿勢も素敵です。

 

RMEユーザーは検討する価値があるソリューションではないでしょうか。