[機材紹介]Knif Audio Soma
Knif Audioのマスタリングイコライザー(EQ)、Somaが届きましたので簡単にレビューをします。
Knif Audio
Knif Audioはフィンランドのメーカーです。
創業者のJonte氏はコイルを自分で巻くような、まさに「職人」で、氏の投稿などを読むと良いパーツを「正しく」配置する、という哲学を感じます。
話は逸れますけれど、フィンランドって個人的にとても気になる国でして。
スタジオのモニタースピーカーとして定番のGenelecやAmphionがあったり、最近個人的によく使っているDarkglassというペダルメーカーもあります。
音にはあまり関係ないものの、モータースポーツの最高峰であるFomula 1(F1)で活躍するドライバーを、チャンピオンも含め多く輩出しています。
どちらも精密な仕事が求められる業界です。
ウィキペディアによると、人口は東京都の人口の半分強、約530万人です。
Soma
同社のEQは2020年9月現在、「Soma」と「Eksa」という2機種がラインアップされていて、どちらもマスタリング向けEQです。
EksaはSontecベースで、オリジナルのディスクリートオペアンプをふんだんに使い、ゲインのステップも0.25dBと現代の繊細なマスタリングに沿ったつくりのようです。
対して今回ご紹介するSomaはPultecやManley Massive Passiveのような、真空管を使ったパッシブEQです。
また、入出力はLundhal製の高級トランスを使用しています。
外観や操作子など
4Uで、しっかりしたフロントパネルです。重い。
上段がLもしくはMチャンネル、下段がRもしくはSチャンネルになっています。
同社の製品らしく、可変抵抗(ボリューム)は一切無く、高品質なロータリースイッチ(ゲインは0.5dBステップ)で構成されています。
右側にはそれぞれのチャンネルのゲイントリム(0.25dBステップ(!))、ローパス及びハイパス、右端には後述の「+6dB」スイッチやM/S回路のスイッチがあります。
音
ローエンドはどーんと伸びつつも掛かりはタイト、ハイミッドやハイエンドは耳障りにならずにさーっ!と伸びる感じです。
詰まる感じがなく、奥行きがあります。
周波数やQのコントロールがカチッとしているため、迷わず音作りができます。
Somaをモデリングしたというプラグイン、Acustica AudioのAzure2を持っているので、簡単に特性を比べてみました。厳密なテストではありませんので、ご参考までに。
ハイエンドが上がっているように見えるのが実機ですが、ほぼ一緒です。
ここからEQ処理をしていくとどうかを観察するために以下のようなセッティングにして、実機も同様のつまみ位置で比べてみました。
ゲインの可変幅はともかく、ローエンドとハイエンドは違って見えますね。
マニュアルによると、Azure2は各バンドの混ぜ方が実機と異なり、また、モデリングしたスタジオの信号パスも再現しているとのこと(中央上の大きい緑のランプでOn/Off可能)なので、それが影響しているのかもしれません。どちらにしても実機を置き換えるものではなく、別物として考えるべきでしょう。
また実機には先述の通り+6dBというスイッチがあり、それを入れるとレベルが6dB程上がるとともに、中低域を中心に少し押し出し感が出ます。
入力トランスの巻き数比を利用しているようですが、これがまたすごく良い感じです。
まとめ
7,100ユーロ(購入時。現在は7,300ユーロ)という値段に相応しい、非常にすばらしいEQです。
2020年半ばの為替だと送料、送金手数料、税など諸々込みで100万円くらいでした。
同じような真空管パッシブEQでこの価格帯だとPulse Technology、EAR、Manley Massive Passiveなども候補になると思いますが、4バンド、M/S機能内蔵、完全ステップ式というのはなかなか無いです。
またEksaのページにもあるように、EksaやGMLなどのような細かく追い込むためのEQは良いコンビネーションになるでしょう。さすがに買えませんけど。