[機材紹介]Knif Audio Pure Mu
Knif Audio Pure Mu
先だってKnif Audio Somaのレビューをしましたが、同社のPure Muというコンプレッサーも導入しましたのでご紹介します。
真空管を使ったVariable Muタイプのステレオコンプレッサーです。
同社のフラッグシップコンプレッサーVari Muの弟分でした。
※2020年に製造終了になってしまいました。
定価は€3,900とVari Muよりも€1,300安く、シンプルな構成になっており、M/S回路やアウトプットトリムは省かれ、各種操作は1ノブで左右共用となっています。
とはいえ同社のWebによると設計思想は違うもののクオリティは上位機種であるVari Muに劣らないとのこと。
私の使い方であれば使いやすいこちらにして正解でした。
スペースも2Uで済みますし、左右いっぺんにコントロールできるのも便利です。
なおけっこう熱くなるので、上は1U空けてマウントしています。
機能
フロントパネルにはInput、Threshold、Raio、Attack、Releaseなどコンプレッサーとしてはごく当たり前のツマミが並んでいます。
すべてElma製のロータリースイッチなのでリコールは完璧にできます。
上記コントロールに加え、ちょっと変わった機能がいくつかあります。
- Linkスイッチ…ステレオリンク具合をOff(左右独立)からOn(完全リンク)まで5段階で選べます。Onで使うことが多いですが、ソースによっては少しリンク具合を緩くすると良い場合もあります。
- Sc HPスイッチ…サイドチェインにハイパスフィルターを掛けて低域にコンプレッションが引っかかりにくくします。20Hz/70Hz/150Hzの3つから選びます。ふだんは150Hzで使うことが多いです。
- Dual Relスイッチ…リリースが2段になります。こちらもソースによりますが、個人的にはあまり使わないです。
- Loadスイッチ…入れるとほんの少しコンプ感が増えてレベルが4dB程下がります。
ゲインリダクションメーターは電源スイッチ上にあるスイッチで切り替えて左右どちらかを表示するようになっています。
また、RatioはOffも選べて、バイパススイッチとは異なり回路を通るけどコンプレッションをしない、という設定ができます。
使用
操作子は非常に合理的で、Inputトリムは-2.5〜+5までは0.5dBステップ、その上は1dBステップで+12dBまであり、Thresholdも16以上は0.5刻みになるなど、うっすらコンプレッションしたい時に細かく調整できるようになっています。
出音については、オプションのアモルファスコアトランスを選んだ(このトランス2チャンネル分だけで数万円します)おかげもあるのか、高級機材らしい音です。痩せたり歪んだり、ということはもちろんなく、とてもクリアで抜けが良いです。
最後に
同じようなVariable Muタイプのコンプレッサーといえば、Manley Variable MuをはじめSPL Iron、UnderTone Audio Unfairchildなどがあります。
デモもせずにえいやっと買ってしまいましたが後悔はありません。このクオリティでこの価格でしたら納得です。
プラグインとは(当たり前ですが)違った質感ですし、躊躇なく使える頼もしい機材です。